大阪地方裁判所 平成2年(わ)106号 判決 1990年7月12日
本店所在地
大阪府東大阪市小阪三丁目三番一四号
村川鉄工建設株式会社
(右代表者代表取締役 村川昇)
本籍
大阪府東大阪市柏田東町一〇五六番地の一
住居
奈良県北葛城郡上牧町大字上牧四六九一番地の一
会社役員
村川昇
昭和一六年一一月一〇日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官梶山雅信出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人村川鉄工建設株式会社を罰金二〇〇〇万円に、被告人村川昇を懲役一〇月に処する。
被告人村川昇に対し、この裁判の確定した日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人村川鉄工建設株式会社(以下、「被告会社」という。)は、大阪府東大阪市御厨南二丁目二番三七号に本店を置き(平成二年二月二八日大阪府東大阪市小阪三丁目三番一四号に本店を移転)、建築総合請負業を営むもの、被告人村川昇は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人村川昇は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、
第一 昭和六〇年七月一日から昭和六一年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が七四〇〇万四〇〇八円(別紙(一)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、架空の仕入れ及び外注費を計上するなどの行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年八月二八日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三二〇万八九一九円で、これに対する法人税額が八〇万七四〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三〇八七万二七〇〇円と右申告税額との差額三〇〇六万五三〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた、
第二 昭和六一年七月一日から昭和六二年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が五〇〇一万一七二一円(別紙(二)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年八月二五日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一〇四五万五二四八円で、これに対する法人税額が三二六万三三〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一九八七万六八〇〇円と右申告税額との差額一六六一万三五〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた、
第三 昭和六二年七月一日から昭和六三年六月三〇日までの事業年度における実際所得金額が一億一三〇三万六五三二円(別紙(三)修正損益計算書参照)あつたのにかかわらず、前同様の行為により、その所得の一部を秘匿したうえ、同年八月三〇日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三六九六万六二八四円で、これに対する法人税額が一五四七万九五〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もつて、不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額四七四二万八六〇〇円と右申告税額との差額三一九四万九一〇〇円(別紙(四)税額計算書参照)を免れた
ものである。
(証拠の標目)
(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カードの検察官請求分の番号を示す。
判示事実全部について
一 被告人村川昇の当公判廷における供述
一 被告人村川昇の検察官に対する供述調書
一 被告人村川昇に対する収税官吏の質問てん末書一六通
一 吉井幸雄の検察官に対する供述調書
一 掛上勉、吉井幸雄(二通)、川﨑龍也、牧浦好治(二通)、筒井俊子(三通)、羽賀則明(二通)、村川新子(二通)に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の各査察官調査書(9、10、11、15、17、18、20、26、27)
一 被告会社作成の証明書
一 大阪法務局東大阪支局登記官作成の商業登記簿謄本二通
一 検察事務官作成の報告書
判示第一、第二の各事実について
一 収税官吏作成の査察官調査書(16)
判示第一の事実について
一 収税官吏作成の各査察官調査書(19、21)
一 東大阪税務署長作成の各証明書(4、5)
判示第二の事実について
一 南野五郎の収税官吏に対する質問てん末書二通
一 収税官吏作成の各査察官調査書(13、24)
一 東大阪税務署長作成の証明書(6)
判示第三の事実について
一 村岡和子、奥田末太郎、浦島昇三、吉田浩昭の収税官吏に対する各質問てん末書
一 収税官吏作成の各査察官調査書(12、14、22、23、25)
一 東大阪税務署長作成の証明書(7)
(法令の適用)
被告人村川昇の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人村川昇を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
更に、被告人村川昇の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金二〇〇〇万円に処することとする。
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 仙波厚)
別紙(一)
修正損益計算書
自 昭和60年7月1日
至 昭和61年6月30日
(村川鉄工建設株式会社)
<省略>
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
自 昭和61年7月1日
至 昭和62年6月30日
(村川鉄工建設株式会社)
<省略>
<省略>
別紙(三)
修正損益計算書
自 昭和62年7月1日
至 昭和63年6月30日
(村川鉄工建設株式会社)
<省略>
<省略>
別紙(四)
税額計算書
村川鉄工建設株式会社
<省略>